SADとは?種類・症状

4月 21, 2021

こちらでは、SADの知識を深めるための情報を記載しています。SADとは何か。症状や原因について。合併症状はあるか。などといった内容になっております。SADを慣らす(治す)ためにはどうしたらよいかについてはこちらを参照ください。

SADの検査としては主にM.I.N.I.(精神疾患簡易構造化面接法)が診断に使用され、重症度はLSAS(リーボビッツ社会不安障害評価尺度)が用いられることがあります。ご自身がSADかどうかに関しては、簡易テストがありますのでこちらから実施してみてください。

SADの症状

他人の評価が心配でたまらない

会議時の緊張の顔➡終わった後の緊張の顔

社交不安がない人→終わった後のさわやかな顔

社交不安症があると、自分がどう見られているかにとらわれ、更に緊張の場が終わっても、自分がどう見えていたかにとらわれてしまいます。社交不安がない方は、発表時に緊張しても、終わればリラックスして気持ちをリセットできます。

発表や会議、仲間内での説明などでも、説明している最中だけでなく終わった後もず~っとそのことを考えてしまいます。緊張が溶けて考える時間がある分、終わった後の方がやっかいです。

「あのとき、質問されてうまく答えられなかったからできないやつだと思われたかもしれない。」

「顔が赤くなってしまった、声が上ずってしまった、震えてしまった…のを変に思われたに違いない」

そしてもし、誰かにミスを指摘されたりミスしていなくても強く意見されてたりすると、もうもうもう!!!そのことで頭がいっぱい!いつもの不安の2倍の悩みをかかえませんか?

「もう少し、ここをこうしたほうがいいのではないか」と言われたり、「なぜそう考えたの?根拠は?」といった強い表現の方っていますよね。質問ならいいですが、後者の強い表現の、おつばね様タイプな感じは私が大大大苦手&大大大嫌いなやつです!!

私は、評価がともなうであろう会議や研修会などでは、終わった後の症状がてんこ盛りですが、例えばボランティアで講師として指導する際などは、最初のドキドキは変わらず半端ないですが、あとの反省はかなり少ないです。たぶん、後に続くか続かないか、すぐにやめられるかどうか、その後の人間関係の有無、金銭の発生の有無など、自分にとってどれだけ価値のあるものかどうか、こんな感じで無意識に決めているように思います。

文献では、以下のように表現されています。

こういった人と会うのが非常に苦手という症状は、以前は「対人恐怖症」とも呼ばれ、日本人特有の症状と考えられていました。ところが、欧米でも同様の症状に悩む人が多くいることがわかり、SADという病気の概念ができたとのことです。対人恐怖症は社交不安とは厳密には異なりますが、今では社交不安症に含むのが一般的です。₁₎

たぶんですが、会議中よりも会議前、会議後の方が緊張マックス!不安マックス!の方も多いのではないでしょうか。対策に対策を立てまくってさらに緊張するんですよね…

悪い結果ばかりを考え、行動を制限する

緊張した場面に強い不安感を持ち、できるだけ避けようとしてしまいます。

要因1:先輩や上司から否定や批判をされたり、あるいは強く意見されたりすることでそれが深く深く印象に残ってしまい、極端に落ち込みます。そのため、拒絶されないようにと身構え、相手のちょっとしたことを否定と捉えてしまいます。₁₎
要因2:昔に恥ずかしい思いや大きく失敗した思いがトラウマのようになってしまい、過去を引きずってしまうことで、また同様のことが起きるのではないかという恐怖心が植えついてしまいます。また、ちょっとしたことでも、失敗と捉えるようになってしまいます。₁₎

何か行動を起こそうとした際に悪い結果しか想像できなくなってしまい、ますます不安が強くなり、なんとか対策を考えようとします。ですが、対策を考えているばかりでは疲れ果ててしまいますよね。また、対策が不十分で結局うまくいかなかったなんてことがあったら、さらに不安感が増悪してしまいます。結果、人と接する機会が少なくなり、孤独になってしまいがちです。

対策が増えすぎて、日常生活を快適に送れない

対策をたてて失敗する➡さらに対策をたてる➡成功する➡対策を順守する➡失敗する➡さらに細かい対策を立てる・・・

こういった形で対策が減ることはまずありません。しっかり準備することで不安や心配は軽減しますが、SADの方は対策を立てて準備しても大丈夫だと感じることができません。

例え成功したとしても、その対策が成功のカギになったと思いこみ、対策を順守し、それがもし失敗すると、さらなる不安や緊張にさいなまれます。

そして、対策でがんじがらめになることで、対策が回避に変わり、なるべく昇進したくない、上に行きたくない、発表や研修会を開きたくない、飲み会など人が集まるところに参加したくない。などといった行動に繋がってしまいます。

緊張のあまり、心と身体に変化が起こる₁₎

トップページでも同様に記載していますが、SADでは様々な身体的・精神的症状が現れます。

①赤面恐怖…人と話すときに、顔が赤くなってしまいます。自分の表情を気にしたり、顔のほてりを自覚すると、ますます赤くなります。緊張して顔が紅潮するのは自然な反応ですが、社交不安症の場合は、顔が赤いことを他人に指摘されたことがきっかけで、赤面恐怖に陥ることがあります。

➁視線恐怖(対人恐怖)…他人の視線を感じると「見られている気がする」「自分をみっともないと思っているのでは」など、苦痛を感じます。また、「自分の姿勢が他人に不快感を与える」と不安に思うこともあります。

➂発汗恐怖…緊張のあまり大量の汗をかく症状です。人と話すときにしたたるほどの汗をかくなど、一般的な「緊張による汗」の範囲を大きく超えた汗に悩まされます。

④書痙…ひとりで文字を書くと平気なのに、人前だと緊張して手がブルブルふるえ、止めようとすればするほどひどくなります。字が下手だと思われるのではないかという緊張感が背景にあります。

会食恐怖誰かとご飯を食べることに対して、健全ではない強い不安を感じ、次第にその不安を避けようとすることで、友人関係、恋愛、仕事などで何らかの支障が出てしまい、本来あるべき健全な社会生活が脅かされているという状態が、半年以上続いている場合の状態です。

⑥電話恐怖…静かな場所で、自分の話していることが他人に聞かれることをおそれ、電話に出られません。電話のベルが鳴っただけで胸がドキドキしたり、受話器をとっても緊張で声がでなくなるなど、仕事に支障をきたします。

⑦対人恐怖…家族など、ごく身近な人を除いて、他人とかかわることに強い不安を感じます。程度の差こそありますが、社交不安症の基盤となる症状です。他人に低く評価されるのではないかと不安に感じ、自分がどのように見られているかと他人を意識して、緊張感を高めます。

⑧腹鳴恐怖…会議や講演会など、静かな場所でお腹が鳴るのが心配でたまらないことがあります。

➈排尿恐怖…ひとりで用を足しているときは症状がありませんが、職場や公衆トイレで、他の人がいたり、後ろに人が並んでいたりすると、他人の存在が気になって排尿できなくなります。早くしなければと焦るほど、うまくいきません。

⑩自己臭恐怖…若い人に多くみられる症状で、自分が変な臭いを発しているため、他人に嫌われていると思い詰めたり、外出できなくなったりします。本人は「くさい」と思い込んでいますが、実際には臭わない場合がほどんです。

周囲の人の有無が、症状の出現や強度と関係していることと、強すぎる不安が精神的な不安定さだけでなく、身体の症状として現れるようになるんですね。

特定の場面だけでなく、生活全般が不安になる₁₎

○○恐怖のように、苦手な場面がはっきりしている方もいればなんらかの対処もできますが、不安が強すぎる場合には、人と接することがすべてつらくなってしまいます。

苦手な場面が漠然としている人は、ほとんどすべての社会的場面が不安になる人もいます。他人と直に接するだけではなく、人ごみに行くだけでもつらいため、不安の程度が強い人では社会生活を送ることが難しくなります。

SADの原因

SADは、性格ややる気の問題ではありません。その背景には様々な要因が考えられます。

要因1:小さいころから内気で不安体質、感受性が高い

もともとひどく人見知りでコミュニケーションが苦手だった子が、そのまま人付き合いに慣れることなく大人になってしまう。

要因2:人前での失敗によるものがきっかけ

小さい頃にミニトラウマを経験したことがある。(教科書を朗読するときに言葉が出ずに笑われた。勇気を出して手を挙げて回答したにも関わらず、先生や友人から間違いを指摘されたり、バカにされた。)

要因3:症状のかげに発達障害がある場合も

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の特徴である多動性、衝動性、不注意のうち不注意の症状が強かった人が、社交不安症の危険が高いといわれています。

・多動性衝動性優勢型:落ち着きがなくてじっとしていられない。考えるよりも先に、突発的に行動してしまう。

・不注意型:集中力が弱く人から言われたことをすぐに忘れたり、ケアレスミスを何回も繰り返してしまいます。

・上記の混合型:いくつかの特徴を併せ持っているタイプ

発達障害にはいろいろなタイプがありますが、ADHDに限らず、発達障害はSADに繋がりやすいといえるでしょう。

要因4:脳の働きのアンバランスによるもの

脳と症状、どちらが先かなどはっきりとした原因はわかっていませんが、海馬、偏桃体、前頭眼窩、前帯状皮質、島皮質などが関係している可能性があります。

イラスト

 

 

こういった上記要因により、様々な症状がでてくると、人を避けて引きこもりがちになるとともに、不安発作が起こることもあります。

私の症状を例に挙げると、

・急に涙が出てくる

・過去の辛いことが繰り返し呼び起こされる

・今後起こりうるであろう辛いことを想像してしまい、その気持ちが湧き上がって止まらなくなる

こういった症状がほんと、急におきます。夜でも昼でも仕事中でも。仕事中に起こると涙をこらえるのが大変でしたよ。症状が強くなってくると、対応法も課題となってきます。

発作時の対応法₁₎

 

 

 

以上、図のような方法でなんとかしのいでいる方が多いご様子ですね。この図のその他には、自虐行為やSNSの利用なんかもあると思われます。

私はとにかくこらえて、寝れるときは寝て、暴飲暴食、叫んで物を投げつけたり、うつ症状がひどいときには自傷行為をしたこともありました。

不安抑うつ発作は発作自体がつらいだけではなく、つらさを紛らわせるための行動がさらに問題を大きくします。…中略 不安や焦燥感、悲哀感が強い人は、リストカットなどの自傷行為や過食、飲酒などの問題行動を引き起こし、周囲を巻き込んでしまいます。₁₎

こういった発作は、もともとパニック症や非定形うつ病で起こることがわかっていましたが、SADの方でも44%の患者さんが経験していることがわかったそうです。₂₎

ちなみ、SADと混同しやすい紛らわしい病気として、発達障害のほかにパーキンソン病や本態性振戦、甲状腺機能亢進症などがありますので、症状によっては精神科だけではなく神経内科などの受診も必要になる可能性もあります。

SADの方は、根本にあるのは”不安を感じやすい体質・性格”であるということです。大人になって急に症状がでてきたという人でも、今まで影を潜めていただけでその方の根幹には備わっていたんですね。また、SADの方は以下の症状を合併しやすくもなります。

・パニック症…激しい呼吸困難や動悸、めまい、吐き気などを伴う発作を起こす不安症です。発作のつらさが、根底にある不安感をますます強め、「また発作が起きたらどうしよう」(予期不安)という強い不安にさいなまれたり、うつ病を併発したりします。₁₎

・全般性不安症…通常の範囲を超えて、強い不安を慢性的に感じたり、心配のあまり日常生活に支障をきたす状態です。神経が高ぶる、緊張するといった精神症状のほかに、疲れやすい、筋肉の緊張からくるふるえやけいれん、肩こり、頭痛・頭重感などの様々な身体症状が怒ります。₁₎

・広場恐怖症…パニック症の80%以上の人が併発する、関連の深い不安症です。広場とは、いわゆる広いスペースではなく、人が大勢いたり、パニック発作を起こしたときに逃げ場のないような場所のことです。もしパニック発作が起きたらどうしよう、という不安が大きくなり、そのような場所に出かけられなくなることや、ひどいときには外出できなくなってしまいます。₁₎

・強迫症…「鍵をかけたか」「手を洗ったか」などといったことに、病的にこだわって日常生活に支障をきたします。

このほかに、分離不安症や選択的緘黙(かんもく)なども不安症に含まれます。

さて、SADには様々な症状があるということがわかりますよね。すべてにおいていえることですが、どんなときに不安を感じて、自分はどうなりたいか、どんな対策をしていて、その対策による結果はどうなのか、結果を踏まえてその後自分が思っていることは何か。など、まずは自問自答し、自分を客観的に観察するということが重要になります。

こちらの「SADを慣らす(治す)ためには」で、SADの症状に対してどのような対応を行っていけばよいのかなど、いくつか記事を書いていきますので参照していただけると幸いです。

優しい人しかいない世界だったら、SADなんて存在しないのかもしれないのになぁ。

引用・参考文献

1)鈴木 哲:社交不安症がよくわかる本(2017.4),株式会社講談社

2)貝谷 久宣:社交不安症の臨床,金剛出版